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福井県越前市池の上町8-5-1
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モモは古来より霊果の一種とされてきた縁起物でございます。
その由来としては、中国のモモが実を多くつけ、葉や花も旺盛に咲き誇る様から「多産」の象徴とされ、転じて生命力にあふれた実とされた、ことにあるようでございます。
その生命力の強さが更に転化し、今日では「魔除け」の縁起物としても多くの方に親しまれております。
魔除けの果実としては、イザナギノミコトが黄泉の国の追っ手を退けるためにモモを投げ、見事に追っ手を退散させたという神話がございます。
これは、我が国でも古くからモモに魔除けの力を求めていた証と言えましょう。
本場の中国でも、正月には桃符と呼ばれる護符を門扉に貼る習わしがあるようでございます。
また、食すると不老を得られるという伝説があることから、「長寿」の縁起物としても有名でございますね。
当工房でもそれら役儀の願い込めを、多数のモモをお造りさせて頂きました。
特に「隅蓋」と呼ばれる、隅棟を挟んで「隅鬼」と対になる瓦の飾りとしての使用が多くございました。
では何故、モモを主役とせず隅鬼の控えとして据えてきたのか。
それは、各隅鬼の役の力を倍加させるためでございます。
例えば。
「魔除け」の「鬼面」の奥にモモを配せば、鬼面の効果が更に高まると申せましょう。
女性の仏さまである「弁財天」の奥にモモがあれば、弁財天の縁起に更に「多産」の役も加わりましょう。
鶴亀の奥にモモを控えさせれば、「長寿」の役儀がより強まりましょう。
かようにこれら他の鬼瓦の手助けを出来るのは、
モモというものが多くの力を持ちながらも決して主役を食ってしまうほど主張の強くない、縁の下の力持ちのような健気な美しさをもったモノだからでございましょう。
それゆえに、当工房では多くモモを造らせていただいて参りました。
※本稿の内容には諸説ございます。
2015年2月10日更新