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こんにちは。
職人の世界には職人のルールがあり、
各工房にはその工房のやり方がある。
と、出だしから格言めいたようで、ごく当たり前のことを書き失礼いたしました。
その職業特有のルールやその会社独自のやり方は、なにも手仕事に関わらず、どこにでもあることと存じます。
そう前置きをさせて頂きまして、本日は我が工房のやり方の一つを少しお話させてもらいますね。
それは「1からは教えてくれない。懇切丁寧にも教えてくれない」。
これも会社によっては「当たり前だよー」という声が出そうなことでございます。
特段変わったやり方でもないのでございましょう。
ただ、本当に1を教えてもらえないことが多いのが、当工房でございまして。
鬼師にとってもっとも基本的な道具「へら」。
その扱いが製品の最終的な出来を左右し、状況に応じて数十本を使い分けなければならない大切な道具でもございます。
けれども、その道具の、持ち方さえ我が子弟間では教授がなかった――
約十数年前。
突然、多様な形のヘラが入った箱を手渡され、「それでこれ磨くんやで」
と親方。
目の前には形こそそれなりに整えられているものの模様も磨きもまったくされていない鬼瓦がでんと一つ。
「どうやって!?」心の中で叫びました。
勿論、実際に磨きの方法も尋ねました。
しかし、返ってきたのは、とりあえずやってみろという主旨のにべもない答えのみ。
仕方がないので完成品を見よう見まねで磨き、模様を入れてみます。
が、それで上手くいくわけがない。
本来職人が十年をかけ習得するものでございますから。
そして一通りやってみて初めて、親方からいわゆる「ダメだし」という形で指導が始まるのです。
しかし最初に書かせて頂きました通り、教えてもらえるのは1からではないのでございました。
間違っているところ(当時は私が手を入れた全てでしたが)に道具を添え、「こうしろ」「こうやれ」と途中からの説明が始まるのです。
要するに、その道中は次回また自分で考えろということなのですね。
他の工房・手工業さんがどうかはわかりませんが、北川鬼瓦では「自分で見つける」が様々なことの根幹にあるような気がいたします。
そして、だからこそ私の今があるのだと。
それではまた明日お会いいたしましょう。
2015年4月23日更新