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職人自由律俳句

部屋の暗さに　黄昏の足音が随分はやく

目的地も決めずに　風はあんなにも高く飛べる

金ベラの薄さと　鏡写しに　歴史の厚み

こんにちは。

皆々様のお陰で北川鬼瓦も約１５０年続けてくることが出来ました。
誠にありがたい限りでございます。

本日とくにこのような思いにかられましたのは、久しぶりにしげしげと金ベラという道具を眺めたからでございました。

金ベラと申しますのは、字のごとくに金属のヘラでございます。
主に土を磨くために使用いたします。

このヘラは、一日だけでも何百回と土をなでつけていることでございましょう。

なにせ金属でございますので、柔らかい土を整形するのにはこれが最適なのでございます。

ところが、どれだけ硬い金属でも、相手が柔らかくても、何十年も毎日使用いたしておりますと、目減りしてくるのでございますね。

おそらく５年では分からない変化だと存じます。
１０年でも２０年でも気づかないだろうと思われます。

されど、気づけば確実に元の長さより短くなっている、表面がすり減っている。

それはつまりそれだけの長い年月を使い続けてこられたということでございます。

本当にありがたいことでございます。

それではまた次回お会いいたしましょう。