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福井県越前市の鬼瓦工房「北川鬼瓦」魔除け、厄除け、縁起物、手造り鬼瓦、
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記事

四神

四神(ししん)とは、東西南北に配された神獣たちの総称のことでございます。
そしてこの神獣たちは、「陰陽五行説」という考えに基づいて配置されております。 

では。
陰陽五行説とは何でございましょうや――

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それは、まだ科学の発展していなかった、中国の戦国時代。
そのような古代に生まれたとされる、世界観の一種でございました。

この説の中で世界は、陰と陽、そして木・火・土・金・水という五つの構成要素からなると説かれていたのです。

そして実は、これに似た考え方が、中国から遠く離れたヨーロッパでもなされていたことを、ご存知でしょうか。

そう、あちらでは(中国より幾分少ない)四つの「元素」で世界は成り立っているという、非常に近しい考え方をしていたのでございます。

 

ところで。
この四元素の観念は、欧州人が古くから持っていた神学から離れ、哲学を生み出し、そこから自然科学へ至ろうとする過程で生まれているのですね。

この「自然科学へ至ろうとする過程で」というのが、私は重要な気がしてなりません。

それはなぜか。 
私は初めに、「まだ科学の発展していなかった中国」に陰陽五行説は誕生したと書かせて頂きました。
しかし一方で、欧州の四元素説は、人間が分子や原子といった自然科学に手を伸ばす最初の一歩でもあったとも申せます。

 

そう考えると。 
そう考えるとでございます。陰陽五行説によって配された神獣たちも、「古代人によるただの偶像」とは言い切れなくなってくる。ような気がしてこられませんでしょうか。

いったいどのようなモノたちであったのか、興味がわいてこられませんでしょうか。 

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ではここで、ごく簡単に四神をおさらいしてみたいと存じます。 
(以下、複数の資料からまとめ上げたものを、スペースの都合上箇条書きにして記させて頂きました。どうぞご了承くださいませ)

 

“玄武” 
該当する色は黒。守護するは北方。山・高い丘を象徴とする。
北にある山とは、冷たい北風を防ぐ山脈のことで、農業や市井の人々の生活を守る役である。そこから「息災長寿」などの縁起もあるとされる。

 

“青龍” 
該当する色は青。守護するは東。象徴は清流、つまり川である。
川は土地を豊かにし「五穀豊穣」をもたらす源であることから、転じて「家運隆盛」などの神としても語られる。

 

“朱雀” 
該当する色は赤。守護するは南。象徴は平野や池などの広々とした場所。
朱雀自体がしばしば鳳凰(太陽)と同一に語られるように、南の広々とした場所とは、日に恵まれた良質な土地のことである。しかるにその役儀は「平穏安静」などとされる。

 

“白虎” 
該当する色は白。守護するは西。道を象徴とする。
道とは交通に通じる物であり、人が多く行きかう繁栄のシンボルである。そのため白虎には「商売繁盛」などの縁起物としての側面もある。

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この様に陰陽五行説によって配された四神ですが、その思想は風水などにも取り入れられております。

またかつての日本では、正式な官公庁として陰陽寮という部署も存在いたしました。
これは政治と神仏の世界が分かたれていなかったということでございます。

その結果として、都市整備の際には四神を基準とすることもあったと云われております。

例えば・・・・・・古代・近世の中心地たる京都、江戸などがその最たるものでございましょう。 
残念ながら、後付けだと否定されることも多いこの説ですが、しょっちゅう定説が覆るのが歴史学の面白いところ。
本当に京や江戸が四神思想に基づいて造られたと考える方が、なにやらロマンがあるような気がしませんでしょうか。

 

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さて、そのような来歴をもつ四神。
当工房ではどのようにお造りしているのか。

 

 

実は、玄武以外は、それぞれ龍、鳳凰、虎と同じように造らせて頂いております。
特に造り分けはいたしてないのでございますね。

と申しますのも、製品に込めるお客さの幸福を願う気持ちは、龍でも青龍でも私どもの中で変わらないゆえでございます。

 

また、四神の最大の特徴はその名にも冠されているように「色」の違いであると存じます。

しかし瓦はご存じのとおり単色。
その単色を、造形によって河の青や雲の白が感じられるように造り上げるのが当流派の心情。
そのため、色に引っ張られて同じ龍を「龍」と「青龍」などのように造り分けることを良しとしていないのでございます。

 

 

※記述内容には諸説ございます

2015年11月14日更新