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福井県越前市の鬼瓦工房「北川鬼瓦」魔除け、厄除け、縁起物、手造り鬼瓦、
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宝尽くし(七宝)

宝尽くし。 

はてさてこの言葉を聞くと、
私などはつい金銀財宝が山と盛られている絵を想像してしまいます。
(出だしから俗っぽいことでお恥ずかしい限りでございます) 

しかし、縁起物でいう宝尽くし・七宝とは、もっと深い意味があると申します。 
それでは、その七つの宝とその意味を読み解いて参りましょう。 

 

と、その前に。
なぜ宝を尽くすと言いながらも、一方でその種類を七つに限っているのか。 
詳しくはいずれ七福神の項で触れさせて頂きますが、簡潔に申しますと七が「聖数」という聖なる数字だからだそうでございます。 

つまり、七宝はその名からもうおめでたい霊験が含まれているのですね。 

さて。
それでは、ここからは本当に七つの宝をご案内して参りたく存じます。 

 

まずは「金銀(貨幣)」。
巾着(財宝)(北川鬼瓦では金銀財宝は「金がつまって膨らんだ巾着」として表現しております)

これは分かりやすく、いかにも宝物といったところでございますね。財・富を招く象徴として組み込まれております。 

同じく殷富を呼び込む役割をもっているのが「カギ」。
されど今のように両ふちに凸凹がついた形状ではなく、角ばったワラビのように先端が内側に巻いている形をした鍵でございます。
鍵
この様式は、古くは蔵の鍵に多く見られた形と申します。
そしてこの鍵は、仏が手にしていることもある道具でもございます。
そのことから、縁起物で登場する鍵はただの蔵の鍵ではなく、神仏から無限の富を与えられるシンボルとしての役割を持っていることになるのでございますね。
当工房でも、昔から七福神の「布袋さん」の脇に、この鍵を置いております。

 

続いての宝は、「珠」と「小槌」。
今なぜこの二つを併記したかと申しますと、これらはその意味するところ、霊験が同じものを基盤としている故でございます。 
珠
その基盤とは「如意宝珠」という宝物。

如意宝珠とは、こちらも仏が持つとされる珠でございまして。この球はその名に刻された如意、すなわち「思い通りに」という意味通り、全ての願いを叶えると信じられております。  
宝尽くしの珠は、この如意宝珠そのものを表わしているという訳でございます。 

そして小槌には、物を打つ面に如意宝珠の模様が描かれております。 
この宝珠模様の小槌で最も有名なのは、「大黒さん」。
かの福の神が小槌を振るとそこから金銀や食べ物があふれ出すという逸話は、元をたどるとこの如意宝珠に通じるというのでございますね。

こづち

 

 

さて、次の5番目と6番目も同時に説明をさせて下さいませ。 
「笠」と「みの」でございます。 

ミノ雨の多い日本でございます。雨除けとして、昔の生活には欠かせない物だったことでございましょう。 
ただ。この場合の笠とみのは、ただの笠とみのではないのでございますね。 

実はこれらも特別な力を持つとされる道具でございまして、別名を「隠れ笠」「隠れミノ」。
天狗が登場する昔話などでご存じの方も多いのではないでしょうか。 

そしてこの「隠れ」は、これも文字通りの意味(物理的に隠れる)のみではなく、災いから隠れる、つまり「災いから免れる」という役儀も持っているのでございます。

 

それででは、少々長くなってしまいました本項も次で最後の宝でございます。 
それは「コメ(米俵)」。

tawara

衣食住の食でございますね。
どれだけの金や宝石が目の前にあっても、食べ物がなければ結局のところ人は飢えて死ぬ。だから大切な物の中にはいつも食品を入れよ。
と、私などは七宝の由来を知った際に、何やら昔の人からのメッセージを受け取った気がいたしました。

 

 

と、ここまで並べて参りましたが、
実は七宝・宝尽くしは時代や地域によってその中身がまちまちなのでございます。

「宝船」のページでも、私共が船に乗せる宝は北川式であり、その時々によって変えるという旨の内容を書かせて頂きました。

そこで、こういったものは決まりがないのが決まりと、寛容に捉えて頂ければ幸いでございます。

上の七つは、そのような中でも最もポピュラーな七宝を挙げさせて頂きました。 

DSCF3026(北川鬼瓦では「宝尽くし」は「宝船」の積荷という形で、皆さまのもとにお届けさせて頂いております)

 

また、宝尽くしは福をもたらす物であることから転じて、「魔除け」の役儀にも通ずるとされるどこまでもおめでたい縁起物であることを付け加えて本項の結びとさせて頂きます。  

※記述内容には諸説ございます

 

 

 

2016年3月1日更新

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