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こんにちは。
本日は鬼師あるあるについて少し話をさせて頂こうかと存じます。
お題は「爪」にございます。
では本題に入る前に、
一つ質問をさせてくださいませ。
読者さまは、深爪をした経験はおありでしょうか。
どうでございましょうか。
深爪とは一般的に身との境目付近まで爪を切ってしまった状態を指すかと思われます。
要は、爪切りの失敗でございますね。
さて、爪切りに限ったことではないのですが、人は子供のころに周囲の大人や家族から様々なことを習い覚えます。
何を誰に教わるかは個々の環境によるかと存じますが、私(六代目・順一)の場合、爪切りは母からでございました。
その母が、爪を切る際は身の際まで切るよう手ほどきをしてくれたのです。
母自身が、そうでございましたから。
母、つまり今の親方は、日常的に土を触りますから。爪と身の間にゼロコンマ数ミリでも隙間があると、すぐにそこに土が入り込んで気持ち悪くなるから。
物心つく前から工房の粘土をおもちゃ代わりに育った私も、だから、爪の伸びがゼロという(土が挟まらない)長さが普通だと思っておりました。
そう。
ですから、おかしな話私は深爪がどういう長さかよくわからず、ようやく「ああ、自分の『普通』が世間の深爪やったんか」と気づいたのは30になる前後でした(笑)。
おそらくではございますが。母も自分の父、つまり先代親方に爪の切り方を教わったはずでございます。
職業病の一種と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、
人さまから見れば短すぎる爪が、土に関わる一族をつないできた絆のように、私は感じるのでございます。
それではまた明日お会いいたしましょう。
2015年2月11日更新