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福井県越前市の鬼瓦工房「北川鬼瓦」魔除け、厄除け、縁起物、手造り鬼瓦、
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旧北川家

こんにちは。

今日は所用にて昔の北川の家に行ってまいりました。

現在は工房の隣に拙宅があるのでございますが、今からおよそ十年ほど前までは、もっと町内の中の方に入った場所にあったのでございます。

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施主は親方の父で、四代目立川流継承者の清栄。
こちらのブログなどでよく「先代」として話題にあげている、私の祖父のことでございます。

北川鬼瓦のあゆみ』でも述べさせて頂いておりますとおり、祖父は戦後すぐに鬼師として実父・三代目治郎左衛門に弟子入りをいたしました。

そして約十年の修業期間を経て独立。あい前後するように祖母と結婚いたしましす。

上の写真の旧北川家を建てたのは、それより2年ほど後の昭和31年でした。

これも『北川鬼瓦のあゆみ』で書かせて頂いたことでございますが、祖父は立川流鬼瓦の継承者としては直系でございますが、北川本家の中では五男でした。

当時の慣習として、家はもちろん、土地も一切本家から譲ってもらえなかったようでございます。

つまり祖父は28歳にして、
自力で土地を買い、
自力で家を構えた――

それも、鬼師には逆風の時代に。

私が伝え聞く限り、祖父の努力は並大抵ではなかったようでございます。

さて。
長男以外は大切にされないのが当たり前時代でしたが、
三代目にとっては、それでも唯一自分の跡を継いでくれた子という嬉しさがあったのでしょうか。

清栄が家を建てる際に、一つの贈り物を寄越してくれました。

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それが右記の隅鬼。
三代目自らの手による福禄寿でございます。

祖父がこの隅鬼を据えた場所は、玄関向かって右側。

もっとも人目と、何より祖父自身の目につく位置でございます。

私も今日改めて見上げて参りました。

人の手で造ったものには、その人の心が宿るということを教えてくれるような、優しいお顔の福禄寿でございました。

それではまた明日お会いいたしましょう。

2015年2月26日更新