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福井県越前市池の上町8-5-1
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こんにちは。
本日は古い時代に生まれた一つの鬼瓦の話をさせて頂こうと存じます。
その鬼瓦というのがこちら。
十数年ほど前に復元を頼まれた鬼面の鬼瓦でございます。
「重要文化財級などに関わるお仕事」でもご紹介させていただいているのですが、当方には時折、古い鬼瓦の復元依頼が舞い込んでまいります。
その際には復元する鬼瓦を直接お持ちいただく場合もございます。
私共は、そのお持ちいただいた鬼瓦を元に新しく鬼瓦をお造りするわけでございます。
そして。
新しい鬼瓦が完成いたしますと、古い鬼瓦は元の持ち主の方に引き取られます。
古くなった、欠けたとはいっても愛着もございますでしょうから、お引き取りになられるのも当然でございましょう。
私共鬼師といたしましても、その古い鬼瓦が今度は庭先などに飾られ、第二の人生(役割)を生きてくれることは嬉しいことでございます。
と、そのようなわけで、基本的に当工房に古い鬼瓦はないのでございます。
ございますが、ほぼ唯一引き取られなかったのが、上でご紹介いたしました鬼でございます。
しかもこの鬼はほぼ唯一にして、製作されたのが江戸期というなかなかのレアもの。
写真をクリックしていただくと画像が大きくなるのですが、鬼の顎の下に文字が刻まれているのがお分かりになりますでしょうか。
文字は、縦書きで「文政 元年」。
その年号を西暦に当てはめてみますと、1818年のようでして。
今からほぼ200年前でございます。
この時代は、黒船来港の今年の大河ドラマよりは少し前ながら、しかし諸外国の影はちらほら見え始めてきた頃でした。
また、杉田玄白や伊能忠敬といった、時代の少し先をゆく人物が生きていた時代でもあったようでございます。
この鬼瓦は、それ以降、人間よりもずっと長い目で日本を見続けてきたのでございましょうね。
今は古巣とも呼べる鬼瓦工房で、彼が何を想っているのか少し聞いてみたい気もいたします。
それではまた明日お会いいたしましょう。
2015年2月27日更新