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こんにちは。
本日は、当流派・立川流鬼瓦二代目の製作した写真をご紹介させて頂きたく存じます。
二代目はその名を徳治郎と申し、大正期を中心に活動していた人物でございました。
昔の人ですので、残念ながら私自身は顔を合わせたことはないのですが。
されど、現継承者の富江が、「おじじ、おじじ」ととても親しげに二代目を呼び、その話を私にしてくれることがございます。
また、四代目の清栄(富江の実父で、私の祖父)は二代目を評して、
「ヘラ使いが特にうもかった(上手かった)」
と申しておりました。
「ヘラ」とは、荒く形を整えた鬼瓦の表面を磨き、模様を刻むための道具のことでございます。
固い金属製で、長さもあり、自在に扱うまでには長い修業を要する道具でございます。
と同時に、鬼師とっては最も基本的な道具です。ゆえに流派継承者であれば、これを己の手先のように扱えるのは、ある意味絶対条件。
それでも――
天皇陛下より瑞宝章を賜るまでに至った四代目をして、「ヘラ使いがとても上手かった」と言わしめる腕前。
相当のものであったことは想像に難くなく。是が非でもこの目で見ておきとうございました。
さて。
その二代目の製品なのでございますが、長らく完全な状態の物がございませんでした。
なにせ戦前どころか、年号2つ前の人物の物でございますので。
何かの一部分とか、どこかのパーツ、等の現品しか当工房にもない始末。
それが本日。
資料整理をしておりましたら、ひょっこり写真が出て参りました。
どこかのお寺さまの屋根でございましょうか。
苔むした様子が年月を感じさせますが、大きな痛みはないようでございます。
一世紀近い時間、その役目を黙々と果たしていたのかと思うと、その姿に「おじじ」が重なるようで何やら感慨深くなって参ります。
写真は、『北川鬼瓦(立川流鬼瓦)のあゆみ1』にも掲載させて頂きました。
「あゆみ」自体も二部編成にて完成いたしましたので、もしお時間ございましたらこちらにもお寄りいただければと存じます。
それではまた明日お会いいたしましょう。
2015年3月25日更新